ブログ開設5周年記念「若気ではない至り」

0

     暑すぎるのでどうにも頭が冴えず、馬鹿なことしか

    思い浮かびません。

     

    5周年記念に相応しいかどうかははなはだ疑問ですが、

    以前書いた愚かな一編を一部改訂して再録します。

     

     

     

    僕は子供の頃から悪戯好きで、周囲の人達には
    随分と迷惑をかけてきました。

    親や先生に叱られたらその場は反省するのですが、
    それも一瞬の事なので愚行は繰り返されます…


    これがずっと後年になっても…

     

     

     

     

    「原さんとKさん、Eさんが事務所で話を
    聞きたいと言うてはりましたよ」

    劇団の制作のNの言葉に瞬時に僕は
    「しまった!」と直感しました。

     

    僕はO阪芸大在学中から先輩が主宰する
    ●河内●●一座という劇団に20年程在籍していた

    事は何度か書いてますが、その当時です。


    …呼び出しの2週間程前です。

    前年秋に敢行した中国は上海・北京での
    公演の報告書の作成中。

    年が明けても各助成機関に提出しなければ
    ならない書類が多く、僕はその担当でした。


    当時の僕はワープロすら打てなかったので、
    家で下書きした原稿を劇団の事務所で後輩の
    女の子達にワープロで清書してもらってました。

    清書してもらっている間は手持無沙汰なので、
    手伝いの名目で呼んだ後輩と隣の稽古場で

    雑談したり遊んでました。

     

    一緒にいたのは10年ほど後輩のK竹という男です。

    四角い顔で背が低く、筋肉質だけど恐ろしく短足。

    漫画「がきデカ」の「座って大きなこまわり君」
    「立って小さなこまわり君」を地でいくような
    風貌の男でした。

    朴訥な喋り口調で少し気弱な感じがします。

    僕より二つ年下で演劇経験のない素人ですが、
    繊細そうで新人としては結構年も食っていたので
    皆、K竹には少しだけ気を遣って「Kさん」と

    呼んでました。

     

    ペルシャ絨毯のような模様のペラペラで薄汚い

    パーカーをいつも着ていた記憶があります。


    ただ、冴えない外見の「オタク系」にありがちな

    「超一流のオ●ニスト」に共通するある種の匂いを

    発散していて、僕は早々に嗅ぎつけていました。

     

    (イジり甲斐のありそうな奴が入ってきた…)

     


    数か月後の初舞台。

    顔中髭だらけでボサボサ頭のK竹に

     

    「Kさん、何もできないお前に何ができる?」

     

    「…」

     

    「気合見せるしかないやろ!」

    半ば強制的に役とは全く無関係なパンチパーマ。


    髭を70年代のトム・ジョーンズばりの

    「もみあげ」にカットして気合充填(笑)


    劇場の外のショッピング街ですれ違う若い女の子に

     

    「きしょっ!」

     

    囁かれながらも外見だけは充分に異彩を放ち、

    Kは記念すべき初舞台に立ちました。


    当時人気のAV女優の裏ビデオをK竹に貸して
    1週間程経ったので、

    「Kさん、もう観終わった?」

    「はぁ、……毎晩観てるんですけど
    …なかなか先に進まないんですよ…

    エヘヘッ…もう少しいいですか?」

    自室でブルーノ・サンマルチノ顔負けの
    「人間発電所」ぶりを発揮していたのです。

     

    彼の旺盛な自家発電力で彼の自宅はおろか、町内の

    全電力を彼の右手が担っていたという説もあり、

    地域から感謝状まで出たとか出なかったとか…(笑)

     

     

    日々イジり倒される気弱なKは初めのうちは、

    先輩の僕が怖くて嫌々だったに違いありません。

    しかし内なる変態の血が共鳴したのか、
    次第に息が合ってきたのです。

     

    何人かで雑談中、僕が何の脈絡もなく
    「Kさん、チ●ポ出してみぃ」というと
    ポケットから煙草を取り出す程度の
    さりげなさでズボンのファスナーを降ろし
    「はい」と出します。
     

    もはや命令や強制もなく、僕とK竹の間で茶道でも

    嗜むように「下ネタサロン」の趣が出てきました。
     

     

    はなしは手持無沙汰の稽古場に戻ります。


    雑談にも退屈してきた時、僕は棚にある
    「ある物」に気が付いてしまったのです。

    某先輩がとあるプロデュース公演に客演し、
    「ある小道具」をお土産に持って帰ってきました。

    その芝居の劇中、天井から吊るされた無数の男根が
    降りてくるシーンがありました。

    お土産とは、その男根のひとつだったのです。

    樹脂製で玉袋つき…それはそれはリアルな代物でした。

    当初は皆、珍しがって触ったりしてましたが、
    それも飽きられ、稽古場の棚に無造作に置かれていました。


    僕は無言のままKに目くばせをし…

    「…(なぁ)」

    「…(はい?)」

    「…(ちょっとつけてみる?)」

    「…(はい)」

    アイコンタクトを理解したK竹がファスナーを

    降ろして装着してみると…


    「グヮハハハハ!!」


    「極上の餌」を見つけた大馬鹿者にスイッチが

    入ってしまいました。

    K竹は稽古場の隣の事務所に用事があるそぶりで
    入っていきましたが、残念ながら作業中の後輩の

    女の子達は無反応(の振り)。

    「じゃあ1階に行こう!」

    この建物はOガスの旧営業所を改装したもので、
    1階に小劇場と小洒落た雑貨店、カフェレストランがあり
    2階に我々の稽古場や事務所、さらに「チケットぴ●」
    などが入っており、京阪神のクリエイティブな人達が
    集うメッカとなっていました。



    しかし1階の雑貨店の店員さんも気付かないのか無反応。

    「面白くないなぁ…、外行こう外!」

    道路に出た途端、向こうから巡回の警察官が…

    慌てて中に戻りました。



    初めに戻ってこの建物全体の支配人のEさんの事務所…

    「先日な、下の●●●の店員の女の子から
    変質者が来店しましたと報告があったんや」

    「はぁ…」

    「Gパンから変なものを出して店の中を
    うろついていたらしい」

    「はい…」

    「2人組でどうも1人が指示してたみたいなんや」

    「…」

    「恰好からして、どうも劇団の人みたいやった
    という報告で調べとったらな…」

    Eさん、「●MS新聞」を机の上に広げました。

    ここの文化事業を紹介するフリーペーパーで
    今月号の表紙は僕らの中国公演の舞台写真でした。

    「で、この人とこの人です!という事でな…」

    「…申し訳ありません」

    弁解の余地はありません。

    ただ、本物を出していた訳ではなく
    作り物をつけて遊んでいた事を説明しました。

    「…ほんま、中学生やないねんから」


    「そんな遊びは上(2階)だけでやっといてぇな」

    普段、懇意にしてくれているEさんの言葉だけに
    さすがに情けなく、痛かったです。


    事の顛末をN座長に報告したら幸い
    笑って不問に付してくれました。



    しかし笑って済ませてくれない人がいました。

    僕の当時の嫁です。

    隠していても早晩発覚すると思い、

    家に帰って話をしたら…

    「…情けない…馬鹿過ぎる!」

    「…」

    「K竹君を呼んできなさい!」


    「〜あなたは原さんの事が好きで付いて

    まわっているかもしれないけど、それは

    あなたにとって何のプラスにもならないって〜

    私が懇々と説いてあげる!」

    「…」

     

    僕もK竹もとっくに30歳を過ぎてます。

     

    返す言葉はありません。

     

    この正論過ぎる正論に、懲りない僕も
    今度ばかりは少し反省し、K竹との「下ネタサロン」
    は解散し、普通の先輩・後輩に戻りました。




    数か月後、夏です。


    若手公演のオープニングの集団シーンの稽古中です。

    若手じゃない僕は、今回はサポート的な役で
    演出のN座長らと稽古を見てました。

    まだ公演までは間がありピリピリ感のない雰囲気です。

    僕の隣の某が笑いをかみ殺し小さくK竹の方を指さしました。

    見ると長く垂らしたTシャツでよく見えないのですが、
    ジャージを下にずらし「半ケツ」を出しているんです!

    あの気弱だったK竹が大胆にも稽古中に…!

    一生懸命やっている他の若手連中の邪魔に
    ならないように僕も笑いをかみ殺してましたが、
    K竹にはそれが嬉しかったようで、更にジャージを
    ずらしパンツともども足首の上まで落としています。

    「はいはい!」

    N座長が稽古を止めた途端、見てるみんな
    堰を切ったように大爆笑です。

    一緒に笑っていたN座長もさすがに立ち上がり
    K竹の頭をペチンとやろうと近づいたところ…

    驚いた事に!

     

    K竹は悪びれもせずヘラヘラ笑いながら、
    ジャージをずらしたケツ出しのまま
    ガニ股でピョンピョン跳ねるように高速で
    稽古場の外に逃げて行ってしまいました。

    皆、唖然としました。

     

    そうです。

    K竹はこの瞬間、

     

    僕の子分でも何でもなく
    「一個の独立した大変態」として、

    僕等の見知らぬ何処かに

    大きく飛び立って行ったのでした。

    >>ホームページ掲載商品のオーダーについてはこちらをごらんください。



    コメント
    (遅ればせながら)5周年おめでとうございます。私は4年半で「挫折」しました(^^;)

    もう秋ですね。
    • 蔵人もどき
    • 2017/08/09 8:41 PM
    蔵人もどきさん

    ありがとうございます^^

    始める前から飽きないように好きな事を
    書いていこうと決めて…で何とか5年です。

    暦の上では秋になりましたが、命を削られそうな
    暑さが続いて閉口しています(汗)
    • 原酒店
    • 2017/08/10 7:53 PM
    コメントする








       

    カレンダー

    S M T W T F S
         12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    24252627282930
    31      
    << March 2024 >>

    最新の投稿

    カテゴリー

    月別の投稿

    最近のコメント

    • 3月、「さつま寿 桜」ご予約受付け始めます!
      原酒店 (03/06)
    • 3月、「さつま寿 桜」ご予約受付け始めます!
      mabo (03/06)
    • 「利八新酒 ろ過仕立て」3種と2月に思う…
      原酒店 (02/08)
    • 「利八新酒 ろ過仕立て」3種と2月に思う…
      mabo (02/08)
    • 「知覧Tea酎 荒濾過2023Ver.」と日大フェニックスに思うこと
      原酒店 (11/30)
    • 「知覧Tea酎 荒濾過2023Ver.」と日大フェニックスに思うこと
      mabo (11/30)
    • 「旬」の続報と「花笑み」の大地酒造から復刻「天眞 雪正宗」
      原酒店 (11/09)
    • 「旬」の続報と「花笑み」の大地酒造から復刻「天眞 雪正宗」
      mabo (11/09)
    • 「聚楽太閤」秋の限定2銘柄と目が離せない「アレ」
      原酒店 (11/06)
    • 「聚楽太閤」秋の限定2銘柄と目が離せない「アレ」
      mabo (11/06)

    おすすめリンク

    プロフィール

    このブログ内を検索

    携帯サイト

    qrcode

    others

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM