芋の細道 令和元年〜後編〜

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          〜前編からの続き〜

     

    時間は夕方の4時過ぎ、「八幡」の高良酒造さんから車で5分程、

    川辺町の中心部付近に尾込商店さんはあります。

     

    翌日の仕込みを待つコガネセンガン。

     

    これでもかなり大きいですが、9〜10月よりもやや小ぶりになります。

     

    淡々としたレポートに終止した前編でしたが今回の鹿児島行き、

    実は春くらいに持ち上がった話が実現したものでした。

     

    「納豆すぱとちょい飲み焼酎 ずばばば」の準備中に、

    「あの時のお礼に尾込さんのところに行きたいんです」

    と松本さん。

     

    以前から原酒店のお客様だった松本さんは焼酎マニア。

     

    更には飲んだ後の空瓶のコレクターで、ひと部屋が空瓶で

    埋まっているという完全なる変態さんですが、一番好きな

    焼酎が尾込商店さんの「さつま寿」。

     

    で、ご自分の結婚式の披露宴の鏡開きを「さつま寿」で

    やりたいのですが、との相談が僕に…

     

    焼酎で鏡開きかぁ…聞いた事ないなぁ…

     

    まずは電話で尾込さんに当たってみました。

     

    尾込さんも菰樽は作った事はないとの事。

     

    「でも、やってみればそれが経験になりますよね?」

     

    強引なお願いですが、そこは信頼関係を築けているつもりです。

     

    幸い仕込みの時期ではないし、お互いに少々面白がりながら決行が決定。

     

    尾込さんが菰樽を作る業者さんを探してくれて、「さつま寿」の

    ラベルをスキャンして…送られて来た菰樽は素晴らしいものでした。

     

    そして披露宴は素晴らしいものになったそうです。

     

    松本さんは焼酎が好きな上に、それを造る人に対する尊敬の念が

    ひとかたではなく、神様のように思っているふしがあり、更に上記の

    菰樽の件があったので、尾込商店さん訪問は彼にとって大袈裟でなく

    「聖地巡礼」みたいなものです。

     

    訪問時、尾込さんの手が空いてないので、尾込さんの同級生かつ右腕で

    鹿児島焼酎業界の人気者、皆さんご存じ?「タッキー」こと瀧山さんが

    まずは蔵を案内してくれます。

     

    これは白麹(さつま寿)の一次醪(もろみ)

     

    水を通す管を沈めて醪の温度が上がりすぎるのを防ぎます。

     

    こちらは黒麹(神座)の一次醪。

     

    米の5倍の量の芋を加えた二次醪。

     

    鼻を近づけ過ぎると炭酸ガスで危険ですが、ここの白麹の醪は

    バナナの香りがします。

     

    修理を重ねて年季の入ったホーロー製の蒸留器。

     

    今はほとんどの蔵の蒸留器がステンレス製で、現役の

    ホーロー製は数少ないというか、絶滅寸前みたいです。

     

    こちらも小型ですが、珍しい丸型のステンレス製の蒸留器。

     

    顔が描いてあるのですが、これには涙なくして語れないエピソードが…

     

    前編で焼酎の造り方を簡単に説明しましたが、蒸留の手前まで完璧な

    仕込みができても、人の手が届きにくい蒸留工程で全てが台無しになる

    事があるそうです。

     

    内部の蒸気の吹き込みの角度、蒸留器の上部の管(ワタリ)の角度や

    長さ等で垂れ(蒸気の再液体化)が悪かったり、甘みがが足りなかったり

    味が乗っていない等々。

     

    内部で熱が行き渡りやすいだろうと丸型にしかものがなかなか上手くいかなく、

    この蒸留器を見るのも嫌になって時期があったそうで、そんな時期に顔を描いて

    沈む気持ちを慰めていたそうです。

     

    それでも調整に調整を重ね、上の2台の蒸留器が現在の主力です。

     

    実はもう一機、大型の蒸留器がデンとあるのですが、なかなかイメージする

    焼酎が垂れてこないので、「今は無いもの」と思ってくださいとの事です(笑)

     

    今は大きな「オブジェ」ですが、今後調整を重ねていって戦力にするのでしょう。

     

    原酒が眠るタンク群。

     

    表面上は穏やかでやや地味な印象の尾込商店さんですが、水面下では

    常に攻めてます!

     

    「三蔵(みくら)」の3年間のチャレンジもそうですし、商品化するか

    わからない様々な原酒が貯蔵されていて、タンクが足りない程です。

     

    商売的にはブームの頃に比べて焼酎の売り上げは落ちています。

     

    僕が福岡に帰ってくる前ですが、ブーム以前は現在よりも売れてなく

    各蔵元さんも苦しんでいて、廃業した蔵元さんも相当数ありました。

     

    その中でもコツコツと研鑽を積み酒質を上げ、ブームまで生き残った

    蔵元さん達が大波に乗り、やっと日の目を見たのです。

     

    尾込さんだけでなく今回訪問した蔵元さんは皆さん酒質を上げる為に

    現状に甘んじる事なく、見えない頂に向かって試行錯誤しています。

     

    目先の仕掛けは一時凌ぎでしかなく、結局は美味しい焼酎を造る事でしか

    家族や従業員の方々の生活を守る事ができないと、経験的に知っているのです。

     

    これが「さつま寿」の原酒。

     

    今季の新酒「旬」はどのタンクの原酒を使うか、

    3日の時点ではまだ決めてないとの事でした。

     

     

    そして夜、松本さんにとってはサプライズの「神様」たちとの

    「飲ん方」(のんかた・飲み会の方言)

     

    事前にタッキーと打ち合わせしていましたが、何せ仕込みの真っ最中。

     

    急遽ダメになるとかもあり得るので、ここまで伏せてました。

     

    先に帰られましたが若い蔵人の通山君も参加してくれて楽しく・

    熱く「ものづくり」を語り合い、感涙の松本さんだけでなく僕も

    心に沁みる夜になりました。

     

    きっと松本さんの奥さんもE子さんも同じだったと思います。

     

    毎日休みなしの早朝からの作業で疲労のピークであろう尾込さん、

    瀧山さん、そして通山君、本当にありがとうございました。

     

     

    翌4日(月・祝)朝、ホテルの下に集まると松本さんは既に酒屋さんで

    買い物を済ませ、地元以外では入手し難い焼酎を購入し更にもう一軒

    酒屋さんで買い物をして、松本さんが車を停めている鹿児島市内に戻りました。

     

    ここから車2台でいちき串木野市にある大和桜酒造さんに向かいます。

     

    大和桜酒造さんというと、今や鹿児島焼酎業界の若きリーダー格で

    カリスマ性すら漂わせてきた若松徹幹さん(テッカン君と呼んでます)が

    ほぼ一人で造りを切り盛りしています。

     

    午前10時半頃に蔵に到着したら、テッカン君は泥だらけに

    なりながら芋を洗っていました。

     

    蔵によっての個性になりますが、こちらの芋の処理は細かく

    「大和桜」のクリアな酒質に反映していると思われます。

     

    こちらはドラムを使わず甑(こしき)で米を蒸して、室(むろ)で

    製麹(せいぎく)するので、テッカン君の日々の作業の量を想像すると

    ちょっと気が遠くなりそうです。

     

    メディアに登場する事も多いテッカン君ですが、地道で地に足がついた

    焼酎造りでしか蔵と家族を守れないとの覚悟はビシビシ伝わります。

     

     

     

    ここで松本さんと別れ、松本さんは阿久根から長島に行って、そこから

    フェリーで天草に渡って天草酒造さんに向かいます。

     

    僕はというと、夕方から配達があるのでそのまま福岡に戻ります。

     

     

    長くなりましたが、当店人気一番の芋焼酎「さつま寿」の年に一度の新酒

    「さつま寿 旬」の入荷が近づきました。

     

    例年通り予約注文を承ります。

     

    芋焼酎 さつま寿 旬

    鹿児島県南九州市川辺町 尾込商店

    原材料 さつまいも(南薩産コガネセンガン)
        米麹(国産米・白麹)・鹿児島2号酵母使用
    アルコール度数 25度

    1.8L 1962円(税込み2158円)



    11月19日頃から順次蔵出し予定です。

    原酒店着は22〜24日あたりになると思います。

     

    申し込みはメールかFAXのみでお願いいたします。

    sakayanohara@yahoo.co.jp

    FAX 092-741-1230

     

    ※電話での申し込みはご遠慮願います。
     

    今年は入荷本数を少し増やしてもらいましたので、

    複数本購入ご希望の方も承ります。

     

    もし、ご予約の本数が入荷本数を超えた場合は、

    こちらで調整させてもらいます。

     

    入荷日までご予約の受付けをしています。

     

     

    最後に…帰宅するとジミロン君は粗相はせずに

    臨時第4トイレを使ってくれていました。

     

    悪童チャチャイの方は予想通り「炭鉱夫」になって、部屋中が

    猫のトイレの砂だらけになっており、どうやらFAXを使った形跡も

    ありましたが、放火はしてなくてまずはひと安心でした。

     

     

    〜芋の細道 令和元年 おしまい〜

    >>ホームページ掲載商品のオーダーについてはこちらをごらんください。



    コメント
    後編ドォ〜ムです。
    尾込さんはお邪魔したことが無いので
    訪薩する際はお力添えお願いいたします。
    ハイ!m(__)m
    蔵さん

    力添えする程の力はありませんが、
    次に行く時は声掛けしますね^^
    • 原酒店
    • 2019/11/09 7:50 PM
    長旅&「猫砂嵐」お疲れ様でした。

    ホーロー製の蒸留装置…扱いとメンテナンスが非常に大変そうですが、確実に「尾込焼酎」の味わいを為す要素なのでしょうね。
    • 蔵人もどき
    • 2019/11/11 12:18 AM
    蔵人もどきさん

    そうです、昔からのこのホーロー製の蒸留器が
    「さつま寿」の味わいの根幹をなすそうです。
    • 原酒店
    • 2019/11/11 4:00 PM
    ろかせずとは別に八幡の新焼酎(25度)ってあるんでしょうか?
    • w
    • 2019/11/13 7:49 PM
    wさん

    うちは特約店ではないので無責任な事は
    言えませんが、あるという噂とやはり
    通年商品だという説がありますね。

    新酒と銘打った商品はないと思います。
    • 原酒店
    • 2019/11/14 10:10 AM
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